コンセプト
フラワーデザインの重要な事は基本を学ぶ事
私は1970年に21歳で花屋に入社しました。
花についてもデザインについても何の知識も持たないまま入社したので、初めのうちは何がなにやら全く判らない状態で、ひたすら日々の業務をこなす毎日でした。
そのうち、花が持つ本来の美しさに惹かれ、様々なデザインのプーケやアレンジメントを見て、綺麗さ・美しさを感じるようになりました。
では、なぜそれを美しいと感じるのか、あるいは綺麗に見えるのだろうか?と考え始めましたが、フラワーデザインの勉強などしたことがない私には、解るわけがありません。
そこで、あらゆるフラワーデザインの本や雑誌を買い込み、作品の写真を見比べることでなぜきれいなのか、可愛いと感じるのか、美しく見えるのかを研究するようになりました。
「フラワーデザインの基本とはどのようなものか」を理解しようと考えたのです。
ピアノでも絵画でもスポーツでも、あらゆる事には「基本」があります。
いけばなにも基本があるように、フラワーデザインにも基本があることを知りました。
しかし、当時は基本よりも感性を優先させ、基本は後回しにしていたように思います。
5つのコンセプトを念頭においてデザインを組み立てる
当時21歳だった私は、2012年、63歳になりました。40年以上に渡って花屋を経営し、フラワーデザインを指導し続け、常にフラワーデザインの、「美しさ」と向き合っています。
そして、40年が過ぎて掴めたことは 「基本の中に理論が有る。それを理解し、どのように生かすのかがデザインを美しく魅せるための第1歩」だということです。
一番大切なことは、自分が美しいと思える作品を創造し、それを実際に表現できるだけの技術力を持つということです。
私は常に 「発想」「分解」「分析」「研究」「開発」という5つのコンセプトを念頭においてデザインを組み立てています。
「発想」とは文字通り思いつきやひらめき、アイデアのことで、デザインを作る際の推進力になります。
「分解」とは考え方やテーマ性、メカニックに至るまであらゆる分野に必要なことで、どのような組み立てで成り立っているのか、どのような内容なのかを詳しく分解してみる。分解することで深く理解することが出来ます。
「分析」とは奥深くの真実を見つけること。
真実からは色々な発見があり、そこに理論を組み立てることも出来ます。
「研究」とは新たな方向性のデザインや作品・商品などを考案し、より完成度の高い物を作り出す基盤になります。
「開発」は研究をもとに生み出されるもので、より良いデザインや作品をつくるためのチャレンジと考えています。
今後のフラワーデザインに求められるもの
フラワーデザインには、今や芸術面だけではなく、商業的な分野からも「売れる商品」としてのデザイン性が求められています。
これからは消費者のニーズにどれだけ応えることが出来るかが「良い作品」の判断基準のひとつになることは間違いないと思います。
そして、これからの私の使命として、「誰が見ても美しくきれいと感じる作品や商品を作れるフローリスト」の教育のために全力を注ぎたいと考えています。